ERC1155

EnjinCoinの共同設立者でありCTOのWitek Radomski氏は、イーサリアムブロックチェーンにおける新しいトークンの標準規格である「ERC1155」を開発しました。

今までのICOトークンなどは大半がERC20、そしてキャラクターを用いたDappsゲームなどではERC721に準拠したトークンなどが主流でしたが、Dappsゲーム用に新たに設計されたのがこのERC1155です。

この、新たに開発されたERC1155は、今後のトークンエコノミーやブロックチェーンゲームの発展に寄与する為の大きな可能性を持ってます。

ERC20

ERC20は2014年に開発され2015年に導入された規格で、現在はEthereum上に存在する多くのトークンがこの規格を採用しています。

この規格は、設計がとてもシンプルで小数点以下の桁数や発行枚数など簡単な設定を行うのみで発行することができます。

DAppsはゲームからギャンブル、分散型取引所(DEX)などと様々な種類がありますが、こちらのERC20と呼ばれる規格は分散型取引所のトークンなどに多く採用されています。

このERC20は他のトークンと代替が可能な性質を持っており、全てのERC20トークンは同じ価値を持つ「Fungible Token(代替可能なトークン)」となります。

参照:ERC20トークン

ERC721

ERC20に代わって2017年に提案されたERC721はERC20とは異なりFungible Tokenに対して「Non-Fungible Token(代替不可能なトークン)」を作成する事ができます。

このERC721は価値がそれぞれ異なる不動産のように、ゲーム内で異なったステータスを持つようなキャラクターをトークン化するのに適しています。

ERC1155

この規格はERC20の特徴とERC721が持つ代替不可能という特徴のハイブリッド型と呼ぶことができます。

ERC1155はGithubを見ると「Crypto Item Standard」と記載されており、主に個数の概念を用いるアイテムの導入を目的としていることがわかります。

以下でこのERC1155の特徴を紹介していきます。

ERC1155はアトミックスワップを容易にする

ERC1155はアトミックスワップを容易にし、そのプロセスを簡略化出来ます。

以下の図のように、既存のトークンにおいてアトミックスワップを実現させるには複数の承認ステップを踏む必要がありました。

このように、各ERCトークンは各取引アイテムを個別で承認して処理される必要があった為に、上の図の場合だと4つの承認(Approve)ステップを踏まなければなりません。

しかし、ERC1155の場合は以下の図のように、複数のアイテムをまとめてグループ化する事が可能です。

これによってコントラクトが一つにまとまり個別のトークンを承認する必要がなくなるので、承認ステップは2つで済むようになります。

このように、ERC1155はアトミックスワップのプロセスを簡略化出来るのです。

一度に複数のトランザクションが可能となる

ERC1155では、1つのトランザクションで任意の数のゲーム内アイテムを複数の受信者に送信する事が出来ます。

アトミックスワップの際にも説明した通り、従来の仕様の場合は各トークン毎の取引を個別に承認して処理する必要があり別々のコントラクトを展開しなければならなかった為、そのプロセスが複雑且つ非効率となっていました。

しかし、これをERC1155に代替えすることによって一度に複数に向けてトランザクションを送信する事ができ、これによってイーサリアムネットワーク内のトランザクションコストも抑える事が出来るのです。

まとめ

これまでERC20だとFungibility(代替可能)の概念しか取り入れることができず、一方でERC721では個数が限られていたため、ゲームのシステム自体に制約がありましたが、ERC1155を利用することでこれらを解決し、より現代的なゲームに近づけることができると考えます。

また、これを応用すれば、現実世界の代替可能な資産(紙幣など)や代替不可能な資産(不動産や株式)をトークン化し、仮想空間での経済圏を実現する事も可能となるかもしれません。

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